お酒で赤くなる体質を用いた食道がん高危険群のスクリーニングテスト
国立病院機構久里浜医療センター 臨床研究部長 横山顕
【このテストの目的】
私たちは、国立がん研究センターなどの多施設と共同で、食道がんを予防する研究を行ってきました。その研究から、酒で赤くなる体質や、飲酒や喫煙、野菜くだもの不足が、食道がんの危険を高めることがわかり、この危険性を予測する簡単な問診票を開発しました。
あなたの食道がんのリスクを調べましょう
下の問いに順にお答え下さい。
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この問診票は40歳以上の男性が対象です。質問に沿ってスコアーを加算していき、11点以上では食道がんが発生するリスクが上位10%にはいると推定されます。生活習慣を見直したり、食道の内視鏡検診と受けることをお勧めします。
禁酒者の点数が高くなる点について
誤解を生じやすい点は、この問診票では飲酒をやめたひとの点数が高いことです。これは食道がんになったかたには、たくさん飲酒するひとが多く、肝障害や体調不良などで飲酒をやめたかたが多いことを反映します。一般のかたでは、下図のように、飲酒や喫煙をやめた年数が長くなるほど、食道がんの発生するリスクは低くなることが証明されています。
食道がんの内視鏡検診とは?
食道がんの内視鏡検診では、通常の内視鏡観察に加え、食道にヨード液を散布する食道ヨード染色法を行うと、初期のほとんど平らながんを見つけるのに役立ちます。このようながんは、内視鏡で粘膜を剥離するだけで治療できます。検査を希望されるかたは、食道ヨード染色法についても医師と相談されるとよいと思います。
なお問診票に関する詳細はCancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌2008 ; 17(10) : 2846-54および2009 ; 18(2) : 651-5に掲載されています。