アルコール代謝酵素の体質検査
2つのアルコール代謝酵素の遺伝子型とアルコール依存症の深い関係
アルコールの分解は人それぞれで、遺伝子型の違いが「病気になりやすさ」に直結します。自分の体質を知ることは、予防や治療の大きな手掛かりになります。当院では入院患者さん限定で、研究を兼ねて無料で検査を行っています(2026年現在)。
アルコールは肝臓でまず ADH1B(アルコール脱水素酵素) によって毒性のあるアセトアルデヒドに変わり、次に ALDH2 (アルデヒド脱水素酵素)がそれを無害な酢酸に分解します。この2つの酵素の働き方は遺伝子型で決まり、飲酒後の症状や将来の病気リスクが変わります。主なタイプを下の表にまとめました。
| ADH1B | ALDH2 | 説明 (遺伝子型の頻度はPLOS ONE 2021; 0255276より) |
|---|---|---|
| 低活性型 | 活性型 | A型:頻度は一般のひとで2%~3%、アルコール依存症では23%~26%。 飲酒で赤くなる不快な反応がなく、たくさん飲むと酒が抜けずに翌朝も酒臭い。 アルコール依存症に非常になりやすい体質。 飲酒で脂肪肝・ビール腹になりやすい。 |
| 高活性型 | 活性型 | B型:頻度は一般のひとで51%~52%、アルコール依存症では61%。 飲酒で赤くなる不快な反応が弱く、 アルコールをどんどん分解するので肝臓などの臓器の負担が大きく、 肝硬変、膵炎、痛風、やせ型になりやすい。 |
| 低活性型 | ヘテロ 欠損型 |
C型:頻度は一般のひとで3%、アルコール依存症では5%。 飲酒で赤くなる不快な反応がやや弱く、 飲めるタイプと勘違いして飲んでいるひとが多い。 アセトアルデヒドの分解が遅くアセトアルデヒドがたまって 大球性貧血が起こりやすく、食道がんの危険が非常に高い。 毎年食道がん検診を受けましょう。 |
| 高活性型 | ヘテロ 欠損型 |
D型:頻度は一般のひとで37%~38%、アルコール依存症では7%~11%。 飲酒で赤くなりもともとは酒に弱い。 鍛えてアルコール依存症になったひとが多い。 大球性貧血と白血球減少が特に起こりやすく、食道がんの危険が高い。 毎年食道がん検診を受けましょう。 |
- A型:顔は赤くなりにくく、アルコールが体内に残りやすい。そのため若年でアルコール依存症や離脱症状が起きやすい(非アジアでの標準型)。
- B型:肝障害(肝硬変)や体重減少が起こりやすい。
- C型/D型:赤くなりやすく、発がん性のあるアセトアルデヒドが蓄積しやすい→食道がん・咽頭がんリスクが上昇。貧血や白血球減少を伴うことがある。
表の「ヘテロ欠損」は2本の遺伝子の片方だけ欠損です。E型は両方欠損でお酒を飲めない下戸なので表にありません。
自覚(顔が赤くなる、残る感じ)と実際の遺伝子型が一致しないことは多く、特にアルコール依存症の方で差が目立ちます。市販の唾液検査キットなら4,000円前後で検査でき、結果はアプリで確認できます。体質を知ることで、より安全で効果的な対策が立てられます。





