AUDIT (Alcohol Use Disorders Identification Test)
2020年3月12日
国立病院機構久里浜医療センター 精神科 真栄里仁
AUDIT(図1)はWHOによって開発された問題飲酒者のスクリーニングテストで1)、多くの国々で飲酒問題の早期発見・早期介入のツールとして使われており、日本でも20年以上前に翻訳され2)、医療や保健指導の現場で活用されています。AUDITは全部で10項目の設問から成り、各項目の合計点(最大40点)で飲酒問題の程度を評価します。またAUDITでは、飲酒量を計算するのに純アルコール換算で10gの飲酒量を示す“ドリンク”という単位が使われているのも特徴の一つです(表1. ドリンク換算表)。またAUDITの区分点は集団の特性や目的に応じて決めることができますが3)、特定保健指導で用いられている「標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)」では4)、問題飲酒者としてAUDIT8点~14点(図2)、肥前精神医療センターが開発した日本の代表的な減酒指導法であるHAPPYプログラムでは5)、生活習慣病を有しない場合AUDIT10点~19点を、それぞれ減酒指導の対象とし、それ以上の点数を有する者については、依存症疑いとしており、依存症専門医療機関受診の目安としています。
(図1.AUDIT)
(図2.特定保健指導におけるAUIDIT判定方法)
(表1.ドリンク換算表)
- 1) Babor TF, Fuente DL Jr, Saunders JB et al : AUDIT: The Alcohol Use Disorder Identification Test:Guidance for Use in Primary Health Care. WHO, 1992
- 2) 廣 尚典訳: WHO/AUDIT(問題飲酒指標/日本語版) :千葉テストセンター, 2000
- 3) Babor ,TF . Brief Intervention for harmful and hazardous drinking . http://whqlibdoc.who.int/hq/2001/WHO_MSD_MSB_01.6b.pdf
- 4) 標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)https://kurihama.hosp.go.jp/research/pdf/20140604_hoken-program3_06.pdf
- 5) 肥前精神医療センター:アルコール問題早期介入のストラテジーHAPPYプロ グラム使用マニュアル第4版.