臨床研究部

概要

久里浜医療センターでは、アルコール関連疾患や精神神経疾患の病態の解明や、その予防と治療の開発を目的として臨床研究部が設置されています。
動物実験や分子生物学の研究設備も充実しており、多数の研究機関と協力しながら、分子生物学的アプローチと精度の高い臨床研究とを組み合わせて、多くの学会や論文で成果を公開してきています。
特に社会的にも大きな貢献をした研究には、以下のような研究があります。


研究成果 ※抜粋

アルコール依存症患者の実態調査
厚生労働省の大規模調査の中心的役割を担い、ICD-10の診断基準で全国に82万人のアルコール依存症者がおり、治療を受けているのはその約50分の1に過ぎないことを2004年に報告しました。
アルコール依存症とアルコール代謝酵素の遺伝子多型の研究
アルコール脱水素酵素2 (ADH2) とアルデヒド脱水素酵素2 (ALDH2) は遺伝子多型により酵素活性が異なり、飲酒で赤くなりにくい体質と関係する非活性型ADH2と活性型ALDH2がアルコール依存症の危険因子であることを証明しました。
またこの遺伝子多型とアルコール依存症の病態との関連の研究を行なっています。
エタノールパッチテストや簡易フラッシング質問紙法の開発
お酒に弱い体質のALDH2欠損者を簡単に判別する方法で、前者は未成年での判別にも使えるため学校教育でも使われています。
認知行動療法を中心とした治療プログラムの開発普及
新久里浜方式と呼ばれる認知行動療法のセンター独自のプログラムを開発し、初回治療後1年間の断酒成功率は約50%という成績を報告しています。
摂食障害と女性アルコール依存症の研究
女性アルコール依存症患者の特徴として摂食障害の既往や合併が多く、女性の病態の研究と治療プログラムを確立してきました。
若年、高齢者の飲酒問題の実態解明とその予防と治療の研究
未成年者や高齢者の飲酒の大規模疫学調査を行い、未成年者の問題飲酒が増加していることをいち早く警告してきました。また老人の飲酒問題の実態調査や、高齢者アルコール依存症の治療プログラムを確立してきました。
アルコールによる脳神経疾患、肝障害、膵炎の病態の解明
臨床に基づく病態の研究を行い、特に肝線維化マーカーによるアルコール性肝障害の評価には、その黎明期の研究から数多くの論文を発表してきました。
飲酒関連発がんの研究
口腔咽喉と上部下部消化管の癌がアルコール依存症患者では著しい高頻度であり、食道ヨード染色などを用いた内視鏡癌検診の重要性を報告してきました。
特に食道癌は、ヘテロ欠損型ALDH2を有する飲酒家でアセトアルデヒド暴露によって発生しやすいことを最初に報告し、その発癌背景の研究から、飲酒発癌の機序、予測、予防、早期診断の戦略について報告してきています。

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