IBS・便秘外来
セリアック病の共同研究 水上 健 医師
食事内容に反応して下痢やガスなどIBS症状を引き起こす「セリアック病」の共同研究を行っております。(18歳以上対象、静脈血採血による検査)
セリアック病は、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金となり、腹痛、下痢、ガスなどの症状を呈する自己免疫疾患です。
セリアック病により消化管のがんのリスクが高まることが指摘されています。小腸のリンパ腫は、長期間罹患している患者の約6~8%に発生し、消化管の他のがんのリスクも高まりますが、グルテン制限で、がんのリスクは低下します。
セリアック病の有病率は、世界人口の0.7%とされますが、その8割強の患者は、過敏性腸症候群などの他疾患と誤診されています。
アジア諸国では、極めて稀な疾患と考えられていましたが、インド国内の大規模スタディでは人口の約0.6%存在し、その大部分が診断されていません。
防衛医科大学校を主管とする2023年3月まで施行される本研究はインフォームドコンセントを得られた方から静脈血を採取し、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体の測定を行います。抗組織トランスグルタミナーゼ抗体陽性の検体については、更に抗筋内膜抗体の測定を行います。(この採血検査は厚生労働省班科学研究費で行われます。通常診療費のみ頂きます。)
上記の抗組織トランスグルタミナーゼ抗体、および抗筋内膜抗体が陽性である場合は、セリアック病である可能性が高いとされます。
これまでセリアック病を調べるのは困難でした。IBS患者さんやFODMAP制限が有効な患者さんではセリアック病が症状の一因の可能性がありますし、セリアック病の場合は厳密な小麦を含めたグルテン制限が必要となります。
下痢やガスでお困りのIBS患者さんをお待ちしております。
(通常のIBS便秘外来の初診の予約を取って受診されてください)