IBS・便秘外来

このページは、IBS (irritable bowel syndrome)・便秘外来のご紹介ページです。受診案内を含め、IBS・便秘外来に関する詳細情報をご覧いただけます。

第105回日本消化器病学会総会で発表しました。
「問診と画像による食事関連IBSの診断と治療 -胆汁性下痢症とFODMAPの相違点- 」

  • 食事で下痢をするIBSのうち、食事内容に関らず下痢をする胆汁性下痢症と食事内容で下痢やガスが起きるFODMAPが腹部X線で明瞭な差があったことを報告しました。

概要

当院、IBS・便秘外来は、「IBS」や「便秘」の方の腸管運動・腸管形態を評価して病態に応じた治療を行います。
これまで多くのIBSや便秘の患者さんの大腸内視鏡や、CTコロノグラフィーによる検討と腹部レントゲンとの整合を行うことで、問診と診察・腹部レントゲン所見だけでも病態の把握と治療が可能になりました。

過敏性腸症候群や便秘などの便通障害の方のご受診をお待ちしております。


  • ご注意:
    40歳以上の方で病歴が半年未満の方は「癌や炎症など」の重篤な疾患が症状を起こしている可能性があります。まずは近隣の医療機関を受診して「癌や炎症など」の器質的疾患がないことをご確認ください。

【 当院IBS・便秘外来診療実績 】

2017年度と2018年度のIBS・便秘外来の初診患者数は以下のようでした。

初診患者数 (人) 2017年 2018年
小児 IBS 47 79
機能性便秘 103 211
成人 IBS 252 341
機能性便秘 207 147
全体 609 778

成人向けの新規慢性便秘症治療薬が続々と上市され、成人患者は減少しました。
2017年から倍増した小児機能性便秘患者は2018年末に非常に有効な新薬が上市され、2019年度は減少傾向にあります。

IBSは新規治療薬が出そろって時間が経過しているためもあり、むしろ増加傾向です。
特に目立つのが35歳未満の若年IBS患者で仕事や学業に支障を生じているケースです。
小児・若年患者では復学・復職までの期間短縮が重要で早期対処を心がけています。

診療方針 / 内容

IBSや便秘は他の疾患に比べても患者さんが非常に多く、生活の質に多大な影響を与える疾患ですが、命にかかわらないことから大腸検査に携わる医師が興味を持たない不幸な疾患でした。
そのためIBSや便秘は大腸検査で異常がない ( ≒ 腫瘍や炎症がない) ものとされ、患者さんが非常に多いのにもかかわらず他の疾患と比べて診断や治療の進化はとても遅いものでした。

当院は国内外のRCTで苦痛軽減効果が報告されている大腸内視鏡挿入法「浸水法」を開発しました。
複雑な腸管形態の方では検査自体が難しいとともに痛みを伴いがちでしたが、「先端柔軟大腸鏡」の「浸水法」による運用で無麻酔でも痛みがほとんどない検査が可能となりました。

麻酔をしない大腸内視鏡検査では検査中に患者さんとお話ができます。
検査中のお話というとどうしても便通関連のことになり、その時間は検査が難しければ難しいほど長くなります。
無麻酔で検査をしていたことで、これまで患者さんからIBSや便秘の内視鏡診断や治療へのヒントを多くいただきました。


  1.  内視鏡を入れるのが大変な人は便を出すのも大変
    検査を難しくしている「教科書と異なる複雑な腸管形態」が「ストレスの関与がないIBS患者」や「腹痛を伴う便秘患者」のほとんどに存在することがわかりました。
    また「ストレスが関係するIBSや便秘」の方では鎮痙剤が効かない腸の動きが内視鏡の挿入を阻害し、リラックスするとその腸の動きが消えることがわかりました。

  2.  スポーツマンにIBSや便秘は少ない、が、スポーツをやめると多い
    複雑な腸管形態を持つ方であってもスポーツマンではIBSや便秘がほとんどなく、運動量が少ない人やスポーツをやめた人がIBSや便秘になっていること、スポーツの種類としてテニスやゴルフなど体を捻る運動が効果的で、一般に行われているウォーキングやジョギングは効果があまりないことがわかりました。

  3.  内視鏡を入れるときの工夫が便を出すときの工夫になる
    内視鏡を入れるときの工夫におなかを押す「腹部圧迫」があります。おなかを押して曲がった腸を抑えることで曲りを一時的に矯正して内視鏡を通りやすくする方法です。
    これを「ストレスが関与しないIBSや腹痛を伴う便秘患者」の方に試してもらったところとても効果があったと報告を多くいただき、内視鏡を入れるときの工夫が便を出す工夫になることがわかりました。

     メディアの力① :「ねじれ腸マッサージ」の放映と反響
     「たけしのみんなの家庭の医学」で腹痛を伴う便秘の原因に日本人特有の腸管形態「ねじれ腸」があること、内視鏡を入れるときの工夫を応用した「ねじれ腸マッサージ」の報告をしました。
    放映直後からネットの反響はすさまじく、翌日には病院に「ものすごく便が出たのだが大丈夫か?」などの電話がありました。

  4.  「ねじれ腸マッサージ」放映後のIBS便秘外来の変化
    日本人の腸管形態は人それぞれで非常にバリエーションに富みます。一つの方法ですべてカバーするのはもちろん不可能で「ねじれ腸マッサージ」は約8割の方をターゲットにしたものでした。
    メディアの力はすさまじいものがありました。放映後にいらっしゃる患者さんは「マッサージが効果ありました」と教えに来てくれる人を除くとほとんどが「ねじれ腸マッサージ」の効果がない腸管形態「落下腸 (総腸間膜症) 」になってしまったのです。
    もともと腸管形態異常のうち「落下腸」は2割程度、その方たちが外来のほとんどを占めるような驚くべき事態になってしまったのです。

     メディアの力② :「落下腸マッサージ」の放映とその後
     あらたに「落下腸」の「腹痛を伴う便秘の方」を対象にした「落下腸マッサージ」が放映されました。今回も放映後のネットの反響もすさまじく、「ねじれ腸」より少ないとはいえ「落下腸」で腹痛を伴う便秘やIBSになっている方の多さに改めて気づかされました。

  5.  「落下腸マッサージ」放映後のIBS便秘外来の変化
    ただ驚いたことに久里浜の外来に来る患者さんは一時的に減ってしまいました。
    「マッサージが凄く効いた、これまで検査が痛くて大変だったので検査をしてほしい」といらっしゃる方たちを除くと「ねじれ腸マッサージ」「落下腸マッサージ」が効く方たちが来なくなってしまったのです。
    現在「ストレスが関与しないIBSや腹痛を伴う便秘」の方でいらっしゃる方たちは確かに「ねじれ腸マッサージ」や「落下腸マッサージ」が効きにくい特殊な腸管形態で形態に合わせたオーダーメードの方法を指導しております。

     メディアの力③ :従来の治療が効かない「ねじれ腸や落下腸以外」の便秘・IBS患者さんの来院
     「ねじれ腸マッサージ」「落下腸マッサージ」が効く方たちは減ってしまいましたが、TVや本などのメディアから当院を知っていただいた「ねじれ腸や落下腸以外」の便秘やIBSの方が多くいらっしゃるようになりました。

  6.  痛みがない便秘「機能性便秘」
    「ねじれ腸マッサージ」「落下腸マッサージ」が効く方たちが減った代わりに「痛みがない便秘」「機能性便秘」の方たちたちが増えました。
    当然のことですが「痛みがない」以上、マッサージやエクササイズはあまり効きません。
    「便秘のその他の原因」であるストレスや食事・生活・排便習慣、刺激性下剤の不適切な使用について考えさせられ、「便秘」の病態の複雑さ・難しさについて教えられるともに適正な指導で刺激性下剤はほとんどの方で減量・中止できることがわかってきました。

  7.  便がない便秘「幻の便秘」
    これまでの治療が全く効かない患者さんの中には生活変化、ストレスなどで一日あたりにできる便の量が著しく減り、おなかの中の便が少なすぎるために便を出せない「幻の便秘」の方たちがいらっしゃることがわかりました。
    お腹の中は外から見えないというまさに盲点で、腹部X線でご自身のおなかの状態を認識することが一番の治療になることがわかりました。

  8.  新たなるIBSの原因「胆汁性下痢 (Bile Acid Malabsorption : BAM) 」
    ストレスが関与しないIBSの方では「胆汁性下痢(BAM)」の方たちが増えてきました。
    胆汁性下痢の方たちは病気としての絶対数が少ないため外来にはほとんどいらしていなかったのですが、メディアや本のおかげで来院される方が増えてきました。
    胆汁性下痢には現在とても有効な薬がありますが、「ねじれ腸」「落下腸」と合併していることが多く、薬とエクササイズを併せて指導しております

     メディアの反響 : 小児患者の診療
     IBSや便秘は「腸管形態」や「ストレスに対する腸管運動」など生まれつきの体質です。
    実際に統計を取ったところ当院の成人患者の40%は16歳未満の小児期の発症でした。
    メディアや書籍からおなかの症状で苦しんでいるお子さんの受診が増えました。

  9.  小児患者の診断と治療
    最近は治療体験談やメディアを見てくださったご両親が小さなお子様を連れていらっしゃることが増えてきました。
    小児期から数十年も病気に悩まされている成人の治療がうまくいくのであれば発症まもない小児の患者はより容易なはずです。
    実際に成人に比べると驚くほどの回復力で、早期診断・早期治療の重要性を再認識させられました。
    2015年春には日本小児科学会総会で「成人治療の小児への応用」を報告しております。

当院IBS・便秘外来は患者さんから教えていただいたことに真摯に取り組んで進化してきました。
今後も患者さんの声を真摯に受け止めIBSや便秘の効果的な診断・治療方法の開発と普及に鋭意取り組んでいきます。

診察手順のご紹介 -画像を用いた病態分類と治療-

当院は大腸鏡挿入法「浸水法」の開発過程で見出した過敏性腸症候群・慢性便秘症での内視鏡挿入困難の原因
 ① ストレス関連の「腸管運動異常」と
 ② 運動不足関連の「腸管形態異常」を
切り口に診療範囲を拡大してきました。

これまでの豊富な臨床経験から、「腸管運動異常」は問診から高精度で推測できるようになり、② 腸管形態異常はCTコロノグラフィーを用いなくても腹部X線からある程度推測ができるようになり、近年、「腸管運動異常」や「腸管形態異常」は非常に有効な薬剤が出現したこともあって、ストレス管理や運動励行などの生活習慣改善と併せて非常に短期間で改善するようになりました。

次に見えてきたのが食事関連の病態 ③ 食事をすることで誘発される「胆汁性下痢症」でした。
脂質異常症を合併する「胆汁性下痢症」には陰イオン交換樹脂が奏功してすぐに正常の生活に戻ることができます。

「胆汁性下痢症」が解決して見えてきたのが ④ 食事内容で誘発される「FODMAPや慢性膵炎を含めた消化不良症候群」でした。乳製品や小麦、ネギ類やニンニクに代表されるFODMAPや慢性膵炎で起きる脂質の消化吸収障害が腸内細菌による発酵を引き起こし腹部膨満や下痢の症状を引き起こしていたのです。腹部X線では発酵の結果として小腸を含めて大量のガスが観察されます。
FODMAPでは食事内容の聴取から必要最小限の食事制限、慢性膵炎では画像検査を含めた膵機能の検査を行い消化酵素剤の補充により画像で評価できるほど改善することが分かってきました。

乳幼児に多い直腸性便秘の原因となる ⑤「直腸肛門角」の問題も臀部の観察からある程度推測できるようになりました。
すなわち画像検査と問診からみると過敏性腸症候群や慢性便秘症は分かりやすく、有効な薬剤と併せて治療が容易となりました。

ここでは年齢層や、病気別の診療ロジックと治療期間の目安を随時ご紹介いたします。

病院のご案内

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