IBS・便秘外来
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当院IBS便秘外来は無麻酔を可能とした大腸内視鏡挿入法「浸水法」の開発を契機として開設しました。 内視鏡検査を阻む「ねじれ腸」や「落下腸」、それらの対処法をTV公開してストレスが起こす「痙攣性便秘」や「ストレスによるIBS」が見えてきました。 それらの対処法をTV公開して見えてきたのが「胆汁性下痢症」や「FODMAPなどの発酵性下痢やガス」です。 臨床で得られた所見は学会や論文で発表するとともにTVなどメディアで公開し、さらなる進歩を続けていきます。
当院IBS便秘外来のあゆみ
(1)内視鏡を入れるのが大変な人は便を出すのも大変
検査を難しくしている「教科書と異なる複雑な腸管形態」が「ストレスの関与がないIBS患者」や「腹痛を伴う便秘患者」のほとんどに存在することがわかりました。
(2)スポーツマンにIBSや便秘は少ない、が、スポーツをやめると多い
複雑な腸管形態を持つ方であってもスポーツマンではIBSや便秘がほとんどなく、運動量が少ない人やスポーツをやめた人がIBSや便秘になっていること、スポーツの種類としてテニスやゴルフなど体を捻る運動が効果的で、一般に行われているウォーキングは効果があまりないことがわかりました。
(3)内視鏡を入れるときの工夫が便を出すときの工夫になる
内視鏡を入れるときの工夫におなかを押す「腹部圧迫」があります。おなかを押して曲がった腸を抑えることで曲りを一時的に矯正して内視鏡を通りやすくする方法です。
これを「ストレスが関与しないIBSや腹痛を伴う便秘患者」の方に試してもらったところとても効果があったと報告を多くいただき、内視鏡を入れるときの工夫が便を出す工夫になることがわかりました。
関連ページ:ねじれ腸
メディアの力① :「ねじれ腸マッサージ」の放映と反響
(テレビ朝日「たけしの家庭の医学」2012年4月10日)
(4)「ねじれ腸マッサージ」放映後の変化
日本人の腸管形態は人それぞれで非常にバリエーションに富みます。一つの方法ですべてカバーするのはもちろん不可能で「ねじれ腸マッサージ」は約8割の方をターゲットにしたものでした。
メディアの力はすさまじいものがありました。放映後にいらっしゃる患者さんは「マッサージが効果ありました」と教えに来てくれる人を除くとほとんどが「ねじれ腸マッサージ」の効果がない腸管形態「落下腸 (総腸間膜症) 」になってしまったのです。
もともと腸管形態異常のうち「落下腸」は2割程度、その方たちが外来のほとんどを占めるような驚くべき事態になってしまったのです。
関連ページ:落下腸
メディアの力② :「落下腸マッサージ」の放映とその後
(テレビ朝日「たけしの家庭の医学」2013年6月25日放送)
(5)便がない便秘「痙攣性便秘」
「ねじれ腸マッサージ」「落下腸マッサージ」が効かない患者さんの中には生活変化、ストレスで一日あたりにできる便の量が著しく減り、おなかの中の便が少なすぎるために便が出ない方たちがいらっしゃることがわかりました。
お腹の中は外から見えない、まさに盲点で、腹部X線でご自身のおなかの状態を認識することが一番の治療になることがわかりました。
この方たちのほとんどは通過遅延便秘、いわゆる「痙攣性便秘」です。
旅行中や忙しい時、ストレスが関係するIBSや便秘でみられる鎮痙剤で抑制されない分節型腸管運動異常がでて、便を圧縮します。便秘を悩むこと自体もストレスとなり、便の量が減る悪循環となります。
放映されたTVを視聴しただけで改善されたと教えてくれた患者さんもいらっしゃいました。
メディアの反響 :痙攣性便秘の対処法の解説
(テレビ朝日「たけしの家庭の医学」2017年10月24日放送(痙攣性便秘))
(6)新たなるIBSの原因「胆汁性下痢 (Bile Acid Malabsorption : BAM) 」
ストレスが関与しないIBSの方では「胆汁性下痢(BAM)」の方の来院が増えました。
胆汁性下痢の方は絶対数が少ないため外来にはほとんどいらしていなかったのですが、メディアや本のおかげで来院される方が増えてきました。
胆汁性下痢には現在とても有効な薬(※高コレステロール血症に適応)がありますが、「ねじれ腸」「落下腸」と合併していることが多く、薬とエクササイズを併せて指導しております
関連ページ:過敏性腸症候群 (IBS)
メディアの反響 : 胆汁性下痢症の解説
(NHK「ためしてガッテン」2015年11月18日放送)
(7)ストレスによる腸管運動で起きる下痢に対処する方法
当院は無麻酔で鎮痙剤のみ用いて大腸内視鏡を行いますが、ストレスで下痢を起こすIBSの方、痙攣性便秘の方では鎮痙剤が効かない腸管運動が起きて大腸内視鏡を難しくします。
その対処法は下痢や腹痛が起きた時の対処法にもなります。TVで公開したところ大きな反響を頂きました。
メディアの反響:ストレスによる下痢型IBSの対処法
(NHK「明日が変わるトリセツショー」「おなか強化!急な腹痛に打ち勝つ取説」2023年4月13日放送)
(8)小児患者の診断と治療
成人の患者様がお子さんを連れてこられるなど、小児の患者様が増えました。
小児期から悩まされている成人の治療がうまくいくのであれば発症まもない小児より容易なはず。
実際に成人に比べると驚くほどの回復力で、早期診断・早期治療の重要性を再認識させられました。
2015年春には日本小児科学会総会で「成人治療の小児への応用」を報告しております。
その後、思春期のみに存在する病態を見出し、小児の学会に報告しております。
関連ページ:小児排便障害治療
(9)ガス症状を含む機能性腹部膨満の診断と治療
IBSの患者さんを含め、ガスや腹部膨満で悩む患者さんは多く、腹部膨満外来を開設しました。
ガスや腹部膨満の原因は
①FODMAPや脂質の消化不良による小腸を含む腸内細菌による発酵でのガス産生
②ストレス関連の呑気症、
③ それ以外の生活習慣に関わるものがあります。
当院ではIBSや便秘での診療手順を応用した腹部X線と問診を活用した診療を行っており、必要な方にはガスの濃度測定やセリアック病の検査(自費)を行えるよう整備しました。