IBS・便秘外来
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セリアック病・乳糖不耐
セリアック病の採血・腸管内発酵の検査(自費診療)
グルテンと消化器症状:セリアック病と非セリアックグルテン過敏、そしてIBS
近年、麦に含まれる「グルテン」がおなかの不調に関わることが注目されています。 原因となるグルテン制限が注目され、有名人の体験談が話題となりました。
グルテン制限が有効な消化器疾患の病態
1. セリアック病 (欧米人口の約0.7%)
2. 非セリアックグルテン過敏(欧米人口の5-13%)
3. 小麦アレルギー(幼児0.4%、成人0.2%)
4. FODMAP制限が有効な消化吸収不良やIBS(欧米のグルテン制限者の多く)
特に4.はグルテン制限食で小麦制限≒FODMAP制限となっているケースです。
逆に、FODMAP制限食には小麦が含まれるため、FODMAP制限が有効なケースでセリアック病が見逃されている可能性があります。
1.セリアック病
小麦・大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質グルテンに対する免疫反応で小腸粘膜障害が起きる「遺伝性」自己免疫疾患です。
症状は消化吸収障害から腹痛や下痢、脂肪便やガスなどで、放置すると栄養素の吸収不良から栄養障害、骨粗しょう症等の合併症を引き起こす可能性があります。
セリアック病の有病率は、世界人口の0.7%ですが8割強の患者はセリアック病と診断されていません。アジア人の0.6%にセリアック病患者が存在するという報告もあります。
診断として、欧米では血液の抗組織トランスグルタミナーゼ抗体が陰性であればセリアック病ではないとされます。
根本的治療は原因のグルテン摂取をやめることで、小腸粘膜が回復し、12-18カ月程度で抗組織トランスグルタミナーゼ抗体も陰性になります。
海外ではグルテン抗原負荷軽減や免疫修飾、グルテン耐性誘導などが治療として試みられています。
2.非セリアックグルテン過敏
セリアック病ではないグルテン過敏反応で摂取後、数時間から数日で反応します。
診断は小麦アレルギーとセリアック病の除外を行った後の臨床診断となります。
現時点での対処法はグルテン摂取をやめることのみです。
3.小麦アレルギー
小麦製品の摂取後に発症する即時型アレルギー、摂取後の運動で症状を起こす小麦依存性運動誘発アナフィラキシーがあります。
症状は蕁麻疹や痒みなど皮膚の炎症、腹痛や下痢、嘔吐など消化器症状、呼吸困難やアナフィラキシーショックがあります。
当然ながら小麦製品を摂取しないようにする必要があります。
4.FODMAP制限が有効な消化吸収不良やIBS
グルテン制限を行うと自然と小麦が制限されてFODMAP制限食に近くなります。
非セリアック性グルテン過敏症を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で、グルテンバー、フルクタンバー、両者を含まないプラセボバーなどを用いた検討ではプラセボバーに比してグルテンバーでは差がなく、フルクタンバーでIBSスコアが悪化しました(Skodje Gl et.al. Gastroenterology. 2018;154(3):529-539.)。
すなわちグルテンではなくFODMAPの成分のフルクタン(玉ねぎなどに含めれる)が原因で、グルテン制限食≒FODMAP制限食で良くなるケースが少なくないということです。
[セリアック病の検査]:保険診療では検査できません
採血検査:
セリアック病の検査として血液の抗組織トランスグルタミナーゼ抗体測定があり、欧米では陰性であればセリアック病ではありません。ただし、グルテン制限を厳密にされている場合は12か月から18カ月で抗体は陰性化します。
セリアック病は、グルテン断片の免疫細胞への提示に関与するヒト白血球抗原HLA-DQ2及び-DQ8と強く関連し、両者を持つ人のグルテン摂取で発症します。一方で双方を保有しない場合セリアック病の可能性は著しく低くなります。
以上から、セリアック病とそのリスクを除外するに抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と発症リスクであるHLA-DQ2、-DQ8の測定が参考になります。
ガスの検査:腹部X線と呼気中ガス濃度
おなかの症状に関連して実際に異常発酵が起きているかをみることは重要です。
腹部X線は小腸・大腸内ガスの存在を示し、呼気中の水素ガスやメタンガス、硫化水素濃度の上昇は「腸管内」発酵を示唆する参考所見となります。
[セリアック病の検査パッケージ]
自費7万7千円(受診が初めての方・税込み) 6万6千円(受診中の方・税込み)
- 腹部X線・問診票と併せた検討(当日説明・受診が初めての方のみ)
- 呼気中のガス濃度測定(水素、メタン、硫化水素)(当日説明)
- 採血検査(1カ月弱で結果が出ます)
- 抗組織トランスグルタミナーゼ抗体
- HLA-DQ2、-DQ8
※受診後、来院予定がない場合はゆうパックなど返送用の準備をご持参ください
※複数回受診できる方はIBS外来初診を受診(保険診療)して、通常治療の反応がない場合にセリアック病を考えて自費検査をすることをお勧めします。
※腹部X線や呼気中のガスは有症状時所見が重要です。アレルギー以外で症状が起きる食事があれば当日摂取して受診することもご考慮下さい(摂取されている場合は当日ご申告ください)
セリアック病なのかセリアック病になりやすい体質なのか検査の数字で確認し、実際に消化不良による発酵が起きているのかを腹部X線と呼気中ガス濃度で見てみましょう。 困っている原因を知ることは、正しい対処につながります。御受診をお待ちしております。