PC、スマホ使用ルール作りのポイント

1. ルール作りのポイント

スマホやPCが急激に普及し、子どもがスマホやPCを所有したり、操作する場面も増えました。
・子どもとの連絡手段やもしものときの現在地把握のために親が子どもにスマホを持たせるケース
・PCに関しては、将来のためにと進学やお年玉がたまった時を機にオーダーメイドのPCを買ってしまうケース
・これらがネット依存のきっかけになってしまったケース
もあります。
スマートフォンは携帯電話の延長ではなく、超小型のインターネットPCを子どもに持たせることと同義です。PCに関してはオーダーしたPCが、ゲームPCと呼ばれるオンラインゲームに最適なマシンであることもあります。現在スマホやPCと子どもの接点をゼロにするのは困難でしょう。ではどのようにこれらと付き合っていけばよいのでしょうか。以下に、いくつかのポイントを挙げました。

1. 占有させない
ネット依存を理解するには、ネットの仕組みやサービスを理解することが必要不可欠です。まずはインターネットとネットをするためには何が必要となるのか説明していきます。
スマホ、PC、タブレットに関しては子ども専用の端末を用意するのではなく、親が名義で購入したものを一定のルールや条件等を付けた上で子どもに "貸し出す" という方が賢明でしょう。
アプリやソフトのダウンロードも管理権は子どもではなく、親の許可を得て、例外的にダウンロードするほうが良いでしょう。PCやルーター等のパスワードも子どもに知られないように管理する必要があります。
2. 買う前に決める
ルール作りや取り決めは、スマホやPCを買って使用してからでは間に合いません。というのも一度好き放題専用のPCやスマホでゲームなどに熱中してから、その面白さや自由を制限するのは難しいでしょう。
3. 使用場所・時間を決める
一人でPCやスマホを気兼ねなく使いたいというのが子どもの要望です。しかし、そうした自由なネット環境から、ゲームや動画サイトに長時間使用に繋がりやすいとされています。
子ども部屋がある場合、PCもスマホもタブレットも自室での使用は避けたほうが良いでしょう。使用場所はリビングや家族と一緒の目の届く空間で。ネットにつなぐ際は、最初は親と一緒に。慣れてきても自室での使用は避けましょう。
使用時間に関してもお父さんを中心によく家族で話し合って。例えばPCやスマホは1日2時間、夜9時まで、その後はリビングや親の寝室で預かるなど子どもがひっそりと機器を使わないように気を付けましょう。充電コード等も預かり充電する場所もリビング等が望ましいでしょう。
4. お金に関して
ゲームの課金チケットや電子マネー欲しさに、無断でお金を拝借する子どもも少なくありません。スマホやケータイの場合お金についても決めておく必要があります。
1か月の使用料金上限を上回った場合、小遣い捻出する等決めておきましょう。また親に無断でオンラインショッピングや決済をしないこと。有料のゲームやアプリをどうしてもダウンロードする際はお小遣いの範囲内で。無料のオンラインゲームやフリーミアムのスマホゲームなどは、課金させる魅力が多く、お金をかけず楽しむには時間が必要になるので要注意。
5. 書面に残す
ルールは口頭ではなく、必ず書面に残すようにしましょう。書面化したルールは同意を示すサインを設けたり、リビングの冷蔵庫に貼る等目につきやすいところに保管しましょう。違反があった場合のペナルティ内容や、定期的なルールの見直し等の記載も忘れずに。
6. 違反があった時の対応
違反時は復旧可能なペナルティを設けましょう。
例えば9時までの使用時間を守れなかったら翌日は使用禁止など。一度の違反で全てを取り上げたり、機器を一切使用禁止にするのは現実的ではありません。
7. 親が模範となる
使用時間を決めルールを作っても、親が夜中までPCやスマホをいじっていては子どもにルールを守らせるのは不可能です。親もルールを守りましょう。そして食事の時間、外出の時間はスマホやPC、TVを使わず家族とコミュニケーションをとりましょう。
8. 相談できる環境を
日頃から夫婦や子供と話し合って、お互いに相談しやすい環境を作りましょう。
子供がネット詐欺やネット上のトラブルで困ったときも、日頃の信頼関係があれば親へも相談しやすくなります。
9. 長期休みに注意
子どもの夏休み・冬休みなどの長期休暇中はネットやゲームに向かう時間も多くなりやすく、休みをきっかけにネット依存が深刻になるケースも少なくありません。長期休みの過ごし方や、休み中のルールも良く話し合って、決めておく必要があります。キャンプ等の体験学習に参加するのも良いでしょう。
10. 現実世界、家族を大事にする
食事の時間の使用禁止は勿論、現実の家族・友人と過ごす時間を大切にしましょう。
キャンプなどの体験学習はネット依存の回復だけでなく、予防にも有効とされています。目で見て手で触れて五感を通して現実世界を感じましょう。スキーや乗馬等のスポーツ、釣りなどもオススメです。
11. 良く知ろう
スマホやPCなど次々と新しい機器やシステムが登場し、これらに関しては親よりも子どもの方がよく知り、学び、使っていきます。親が良くわからないものを買ってあげるのではなく、どのようなものを、どんな目的で買うのか。そのメリット、デメリット、潜むリスクなどを知りましょう。

(文責 橋本琢麿)


2. フィルタリングやタイマー設定について

PCやスマホの使用が私たちの生活に占める時間は日に日に増しています。子ども達の生活にもPCやスマホは確実に影響しています。
最近では、「LINE (ライン) をしたいからスマホを買ってほしい。」「自分で貯めた貯金で専用のPCを買いたい。」など、子どもから求められて判断に困る保護者も多いのではないでしょうか。
学業や就職にもITスキルが求められるので、PCやスマホを購入に肯定的な考えを持つ方も多いかもしれません。しかし、ネット依存の問題を考えるとスマホやPC、ゲーム機等の購入には特に慎重になる必要があります。
もちろんネット依存になるきっかけも人それぞれですが、子どもに専用のPCやスマホを与えたことで急速にネット依存に発展していくケースが多数報告されています。というのも子どもはゲームや動画など親が想定しないようなネットの使い方に走る場合もあるからです。
そんなときに、購入前に十分に親子で話し合って購入の有無やルールを決め、もしスマホやPCを購入して、子どもが条件付で使用する場合に、知っておきたい機能があります。
それがフィルタリング、ペアレンタルコントロール機能、タイマー等です。

1. フィルタリングとは
そもそもフィルタリングとは、有害なホームページを子どもに見せないようにするための仕組みです。
子供にとって有害と考えられるような情報があるホームページとはポルノ画像や風俗情報、出会い系、暴力残虐画像、他人の悪口や誹謗中傷、犯罪を助長するような内容、毒物や麻薬情報等です。ゲームや動画などもフィルタリングの対象になる場合があります。
フィルタリングは、本来子どもの行動を制限するものではありませんが、オンラインゲームや動画等のサイトに自由にアクセスできなくすることで、結果的にネット依存に陥るリスクを少なくすることはできます。PCやスマホを子どもが使用する場合、必ずフィルタリングを設定していくことをお勧めします。
2009年4月に施行された、青少年インターネット環境整備法では、携帯電話事業者に18歳未満の携帯電話利用者のフィルタリング加入を原則義務付けられました
2. フィルタリングの形式
フィルタリングには主に以下の2つの形式がります。

  1. ブラックリスト方式: 有害なホームページのリストを作り、これらのホームページを見せないようにする方式
  2. ホワイトリスト方式: 子どもにとって安全で有益と思われるホームページのリストを作り、これらの ホームページ以外のページを見せないようにする方式
3. フィルタリングを利用するには
主にPC等でフィルタリングを使用するには、市販のフィルタリングのソフトをインストールしたり、プロバイダが提供しているサービスを使うなどいくつかの方法があります。スマホやケータイで行う場合は、契約する際にフィルタリング加入する旨を申し出ましょう。
またPCやタブレット、スマホ、ゲーム機等複数の端末に対応できる市販のフィルタリングソフトも販売されています。
4. フィルタリングの弱点
フィルタリングには予防的な対策であって、フィルタリングをしていれば万全ということはありません。というのも、フィルタリングには抜け道があるからです。
例えば、携帯電話の回線にはフィルタリングが適用されても、駅や喫茶店などのWi-Fi (無線LAN) 経由で有害情報へもアクセスできる場合があります。 (事業者やソフト、サービスにより異なりますので事前によく確認する必要があります。)
また、インターネット上にはたくさんのフィルタリングを解除する方法や、親をだましてフィルタリングを無効にする方法があります。
最近では人気アプリ "LINE" を使いたいという理由で、原則加入であるはずのフィルタリングの加入率が減少しています。フィルタリングを適用すると子どもが使いたいLINEなども使えなくなるので、その場合は個別に設定して "LINE" のみ利用可能にする等、フィルタリングに加え、個別の設定を適用するなどの親の知識も必要になってきます。
5. ペアレンタルコントロール機能とは
子供に悪影響を与える可能性を与えるサービスやコンテンツについて、親が利用制限をかけることができる機能のことです。
例えば、スマホの設定画面からゲームや音楽、アプリはダウンロードできないように制限をかけたりもできます。スマホ等を子どもに使用させる際は、契約時にフィルタリングを申し込むのはもちろんのこと、"LINE" だけは使用させる、アプリの追加は制限するなど、その子に応じて保護者が個別に設定することも必要でしょう。
その子の年齢やネットやゲームの使用時間、ルールの逸脱状況などに応じてこれらの設定やルールの見直しや改定も行いましょう。
6. タイマーとは
PCやスマホを使用する前に、タイマー用のソフトをPCやスマートフォンにインストールしたり、スマートフォンのアラーム等で設定して行います。機器の使用を開始して、指定時間のカウントダウンを行い、タイマーが0になったら指定した動作 (シャットダウン、再起動など) を実行します。
つまり、子どもがスマホをして、1時間すると自動でスマホをロックして強制的にネット機器の使用を中断できるわけです。
タイマー使用は、ネット依存の再発予防でも効果があるケースもあります。
7. 同時に行うべき対策
このような機能を使うと共に、スマホを買う前に親子でルール作りをして書面に残す。スマートフォンやPCは自室に持ち込まない、専用のものは買ってあげずに、親のものを条件付で貸し出す。違反があればルールを見直す、一定のペナルティを設けるなど家庭によりPCやスマートフォン使用のルールを事前に十分話し合って決めておくことも大切です。

(文責 橋本琢麿)


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